top of page

学校長挨拶

学校長 正法地 延光

しょう   ほう  じ     のぶ    みつ

略 

大阪大学 工学部 原子力工学科

1968.04 - 1972.03

1972.04 - 1974.03

大阪大学大学院 工学研究科

原子力工学専攻 修士課程

1974.04 - 1977.03

大阪大学大学院 工学研究科

原子力工学専攻 博士課程

1977.09 - 1978.12

西独カールスルーエ原子力研究所

客員研究員

1979.02 - 1982.05

英国シェフィールド大学

博士研究員

1982.07 -

ポルトガル国立工業技術研究所

上級主任研究員

現在に至る

小生は、略歴をご覧頂きましたら御分かり頂けますように、教育者としての経験は御座いません。ずっと金属材料関係の基礎研究という、かなり狭い専門分野で仕事を致してまいりました。ですから初等教育中等教育に対する考え方といわれましても、どうしてもそういった自身の立場から観ての私見ということに成ってしまいますが、以下にそれを 簡単に述べさせて頂き、どのような心構えで、補習校で生徒諸君と接触しているのか、ご理解願いたいものと存じます。

教育の目的
教育の究極の目的は、これまで何千年に渉って人類が蓄えてきた知識情報を、間違いなく次世代にき継いで行き、今後も滞りなく人知の最前線 (frontier) の拡張が続けられるように、準備することにあると、考えています。二十世紀には、人類の共有する知識の最前線が相当に拡張しました。十九世紀迄、物質の最小構成要素と考えられていた原子(atom)が、実は陽子(proton) 中性子 (neutron) 電子 (electron) といったさらに小さな構成要素からなること、また、原子levelの現象の記述には確定論的なNewtonの古典力学は通用せず、確率論的なSchrodingerの波動方程式を用いねばならぬ事も分かり、さらに、陽子と中性子からなる原子核(nucleus)も、核分裂 (fission) 核融合 (fusion) といった核反応 (nuclear reaction)にあずかり、化学反応(chemical reaction)とは桁違いの、大きなエネルギー(energy)を放出することも理解されました。例えば、現在、太陽が核融合の連鎖反応 (chain reaction)によりenergyを生成している事を知らない人はいない筈ですが、これは核融合反応というものがあるという、人類共通の知識があるお陰でして、核融合反応を人類が知る以前には、当代一の学識経験者といえども、太陽が絶えることなく光と熱を放射し続ける理由を説明できなかった訳です。実際、色々な学者が、太陽についてのこじつけの説明を著していたようですが、核融合を知る以前に書かかれた本は、全て誤りという事になります。このように、何か良く分からないということに出会ったときに、それは自分自身の理解の不足によるものか、或いは人類全体の知識の欠如によるものか、区別できるようになるためにも、しっかり勉学に励むように時折、生徒諸君に話したりしておりますが、分かってくれておりますかどうか.....

義務教育の視点
以上のような、二十世紀の科学技術の発展の歴史を振り返ってみますと現時点での、我々の宇宙・自然全般についての理解のなかにも、多くの間違った認識が、含まれているであろうことは、疑いの無いところかと思います。それでも現在の人類が共有している知識の体系は、なかなかのものであると感じられます。義務教育の範囲では、その知識体系の中で、ほぼ確実で間違いないであろうところが、教えられるように成っていると思います。今、補習校で学習している生徒の皆さんのうちのなるだけ多くが、それをうまく吸収・咀嚼して、それを土台として、知識の最前線の発展拡張に効率よく、寄与されるようになられると良いのになあ、と願っているのです。

補習校での教育
とは申しましても、現実には、補習校は週一回土曜日のみ。あまり大々的なserviceが、生徒諸君に出来ているとはとても申せませんが、当方の心構えは以上の様なものです。ただ、本来、週末の休みの日である土曜日にわざわざ出てくるのですから、生徒諸君が出席して、楽しい、だから、金曜日の夜には明日の土曜日が楽しみで仕方がない、と感じられる様な場であって欲しいと思います。それと数学理科(物理化学)を英語、その他の外国語で月曜日から金曜日まで、出席している正規の学校で学習している生徒諸君が、用いられている外国語の術語と、日本語の教科書で使われている術語との対応がつかない為に、数学・理科の理解に困難を極めているという例にもいくつか出会いました。文部省の検定教科書に沿って、教えて事足れりとするのではなく、こういった日々の学習で出てくる不安を取り除く手助けをするのも、我々補習校で生徒に接している者の義務かと思っています。幸い、本校でお教えの先生方は、色々な教育方法を工夫・実践され、土曜日半日のみの限られた時間で、生徒諸君が何がしかを得て、下校できるように、されておられるようですので、心強く感じております。
bottom of page